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かけはしメモリーの動作原理①フィジカルブックマーク

はじめに

 最近、かけはしメモリーの「仕組み」について話す機会が増えてきました。

 実績が増えてきた為、QRコードだけで様々な対面業務の効率化や付加価値を付与することが出来る弊社の仕組みに興味を抱いていただける方が増えてきたことにもよります。

 代表的なものをいくつか挙げさせてもらうと、

1.かけはしメモリー
2.関ケ原ファンクラブ
3.就職展受付管理システム
4.つちのこフェスタ

 実はこれらの仕組みは、同じ動作原理で動いています。対象となる業態も振る舞いも、全く異なるサービスに見えますが、全て「同じ」です。つながり方の「意味」が違うだけでやり方は同じ。全ては「QRコードを介して、人の行動をグラフとして表現するネットワーク構造」がその正体です。

 とは言え、これを簡単に理解して頂くのは難しいのが実情であり、その為、これまでは実績をもって、その有効性を証明する事しかできませんでした。「出来る事」を実装することで有効性を示していたわけです。ただ、実際にはかけはしメモリーのもととなる「物理媒体を利用した情報提供システム及び提供方法」(特許番号6732973および6469189)の大きな利点は、そう言った「出来る事」にはなく、その「柔軟性と拡張性の高さ」にあります。

 最近は、仕組みの方に興味を持っていただける方が増えてきたので、今回の記事から数回に渡って、少しずつ、かけはしメモリーの理念や構造、実装例について述べながら、その意義を私なりに解釈して説明していきたいと思っています。

 まず取り上げるのは、最初の実装例である「かけはしメモリー」です。

 無料で使えるQRコードを介したオンラインブックマークシステムであり、「フィジカルブックマーク」とも呼んでいます。何かを「覚えておく」ことは、「検索が一般的な手法となる以前」に、ひとが情報へのアクセスを簡単にするために行ってきた行為であり、つながりの基本です。だからこそ、この仕組みは弊社の考え方のコアなコンセプトを最も体現したものであるとも言えます。

 それでは、まず弊社の完全なオリジナルともいえる特異な仕組み「かけはしメモリー」について述べさせていただきます。

便利なスマホ時代の四次元ポケット

 旅行や展示会、セミナーや物産展などでよく見かける紙の配布物。それに対してあなたはどう感じていますか?

 その場で手に取って眺めてはみるものの、持ち運ぶにはやや不便であり、結局は捨ててしまうもの、という認識がほとんどではないかと思います。

 最近は、配布物にQRコードが付いていることが多くなりました。今は情報をスマホで閲覧する時代です。紙面ではどうしても物理的な限界がある為、詳しい内容はQRコードの先のページで、と考えるのが一般的になってきており、QRコードは、スマホが普及したからこそ必要となってきた現実世界とネットとのインターフェースとも言えます。

 ですが、このQRコードには大きな欠点もあります。QRコード自体が印刷物であり、紙の印刷物が手元にないとアクセスできないのが問題です。テレビの料理番組や旅番組などで表示されるQRコードも同様で、番組が終わると画面から消えてしまいます。

 パンフレットも案内も、文字で書かれたものは、配布する側としては、元々、「その場ですべてを伝える」為ではなく、時間や場所の制約を受けずに、いつでもゆっくりと見てもらう為に作成したもののはずです。ですが、紙に印刷されたQRコードの場合、この目的の半分も達成しているとは言えません。かさばる紙は持ち運びに不便であり、敬遠されがちなのが現状です。捨てられてしまえば、せっかくのQRコードもまた紙と同時に失われ、その先のページを見てもらう機会は失われてしまいます。

 ではこう考えたらどうでしょう?あなたがいつでもどこでも取り出せる四次元ポケットを持っていて、パンフレットも、番組のQRコードもそこに入れて、いつでも取り出せるとしたら?

 今や「紙の書籍」は、kindleのようにスマートデバイスでいくらでも持ち運べる電子書籍にとって代わられようとしています。その理由はやはり「どれだけでも簡単に持ち運べていつでも取り出せる」可搬性にあり、そうでなければ、ここまで広がらなかったはずです。

 では、これらのパンフレットなどをいくらでも持ち運べる四次元ポケットがあるとしたらどうでしょう?紙の印刷物に「いつでもどこでも」の可搬性を持たせることが出来るとしたら?

 それを可能にするのが弊社のサービス「かけはしメモリー」です。

 論より証拠。まずは試してみましょう。手元に手頃なQRコード(URLが入っているもの)を用意していただき、以下のURLにアクセスしてみてください。アプリのダウンロードも不要です。

QRコードリーダー – かけはしメモリー (kakehashi-memory.jp)

このようなページが表示されるはずです。

これがかけはしメモリーです。

「QRカメラ起動」のボタンからQRコードリーダーを起動し、用意したQRコードを読み取ってみましょう。(※開かない場合は「QR撮影」で撮影してみてください)

表示された画面で「マイメモリーに追加」をタップします。

最初だけこのようなメッセージが表示されます。ここで表示されているURLが「マイメモリー」というあなたのポケットのURLです。

マイメモリーに移動すると、読み取ったQRコードのリンク先が記録されています。

次からは、QRコードを記録する度に、次々とここに追加され、いつでも取り出せるようになります。

 アプリをダウンロードすることもなく、ここまでで数ステップ。ユーザー登録さえ必要ありません。これだけであなた専用のポケットがスマホの中に用意され、そこに情報が次々と登録されていくことになります。QRコードが印刷してあった紙は捨ててしまってもかまいません。雑誌などで気になる情報のQRコードがあれば、そこだけ記録しておいて後からいつでも閲覧することが出来ます。

 あまりの呆気なさに、誰もが驚きます。そして必ず出る質問が以下の2つです。

1.どこに保存されるのか?

2.もう一度見るにはどうすればいいのか?

 1の答えは「クラウド上」です。簡単に言うと、先ほど発行された「マイメモリー」というURLを介して、覚えた情報にアクセスすることになります。そこがあなた専用の四次元ポケットのURLです。だからデバイスを問わず、そのURLさえ手元に置いておけばいつでもアクセスできます。これが即ち2の答えです。ユーザー登録もアプリのダウンロードもなしに実現できているのはその為で、ホーム画面やブックマークに登録することでいつでもアクセス可能になります。デバイスを変更しても、新しいデバイスでURLを介してマイメモリーにアクセスするだけで同じ領域にアクセスできるようになっています。

 では、マイメモリーに記録するまでに一体かけはしメモリーの中でどんな処理が行われているのでしょうか?これを理解していただくと、かけはしメモリーがどのように情報を扱っているかが解り、弊社がそれ以外の様々なサービスをどうやって実現しているのかを理解しやすくなります。

正体は、自分と対象を「覚える」というエッジで結んだ有向グラフ

 「かけはしメモリー内臓のQRコードリーダー」でQRコードを読み取った時、先ず取得できるのはQRコードが指し示すURLです。これは一般的なQRコードリーダーでも同じで、そのQRコードがコード化する文字列はプログラムから簡単に取得できます。それがQRコード本来の仕組みだからです。

 URLを取得したのち、次にかけはしメモリーのリーダーは、「そのURLを持つノード」が既にデータとして存在するかどうかを検索します。「ノード」というのは、かけはしメモリーが持つ情報の単位だと思ってください。様々なタイプのノードがありますが、この場合は、単純にURLをラッピングするノードになります。

 対象のノードがあった場合は、そのノードを取得しますが、ない場合は、新たにURLをラッピングするノードをその場で作り出します。

 ノードの特定(もしくは作り出した)後に、かけはしメモリーはスマホ側にかけはしメモリーのキーを探します。このキーが出来ていれば既に一度はかけはしメモリーを使ったことがあり、なければ一度も使ったことがない状態です(キーはcookieに保存されます)

 キーがあった場合は、そのキーを元に、クラウド上のデータベースから「自分の分身となるノード」を検索します。ない場合は新たにノードを作成し、そのキーをスマホのcookieに設定します。この「自分の分身となるノード」を「オーナーノード」と呼んでいます。後はオーナーノードと、URLをラッピングしたノードを「覚える」というエッジで繋げるだけです。図のように、矢印がオーナーノードから、URLをラッピングしたノードに延ばされ、そこに「覚える」というラベル(属性)が貼ってあると考えていただければ大丈夫です。

 この「ノードとエッジで、関係をネットワーク状に結んでいくシンプルな構造」を「グラフ」と言います。思考を整理するのに便利なツールであり、数学上の概念にもなっていますが、ここでは難しく考えずに、そう言うものだと考えてください。

 さて、ここまでで、かけはしメモリーがQRコードを介して「覚える」行為を行う仕組みを説明しました。あとは、この動作を繰り返すだけです。新たにURLを読み込むと、その都度同じことが繰り返され、オーナーノードと、別のURLが繋がっていきます。

オーナーノードには、マイメモリーを介してアクセスが出来る為、オーナーノードに繋がっているノードの一覧が、覚えたノードの一覧となります。

 こうやって次々と、オーナーノードから、対象のノードにエッジを繋いでいくことにより、人とモノなどの関係を、QRコードを介して、クラウド上にグラフ構造で表現してくのがかけはしメモリーという仕組みの正体であり、この単純な構造がかけはしメモリーの柔軟性と拡張性を支えています。

ショップカードや営業の代わり「記録用QRコード」

 さて、今まではQRコードを「読み込む側」の立場の話でした。
 訪問者や観光客は、かけはしメモリーを利用することで、チラシや紙を持ち運ぶことなく、QRコードを介してコンテンツをスマホで持ち運んだり、あとからリピートアクセスすることが可能になりました。Amazon Kindleが「書籍」をスマホで持ち運ぶものであるならば、かけはしメモリーは、「チラシやパンフレットなどの配布物」等をスマホで持ち歩くことを可能にしますので、鞄の中身を気にすることなく、現地でいいものを見つけながら、軽やかに旅・移動を続ける事ができます。手元のスマホにはあなただけの百貨店が出来上がります。気に入ったものは後で好きな時に見て、好きな時に買いましょう。

 かけはしメモリーには覚えた情報を探しやすくするために様々な方法があるのですが、そちらは以下のマニュアルに詳しく掲載されているので、興味がある方はご確認ください。

かけはしマニュアル (kakehashi-services.com)

 さて、ここからは、QRコードを介して「情報を提供する側」の立場でお話をします。
 先ほど、QRコードを読み取って覚える方法を説明しました。

QRコードリーダー – かけはしメモリー (kakehashi-memory.jp)

 こちらのURLにあるQRコードリーダーからQRコードを読み取り、保存することでクラウド上の自分のポケットに次々と情報が記録されていくというものでしたが、では情報を提供する側としては、いちいち、かけはしメモリーのQRコードリーダーのURLを教えて、お客様に使い方を覚えてもらう必要があるのでしょうか?それはとても現実的な方法とは思えません。

 ここで登場するのが「記録用QRコード」という概念です。

 マイメモリーの画面を確認してみて下さい。

 覚えたもののリストが並ぶ中、「シェア」のマークがあるのが解ります。そのマークをタップすると、LINEやtwitter(X)facebookと共に、QRコードのアイコンがあり、そのアイコンをタップすると、QRコードをダウンロードする画面が開きます。

 色や大きさを決めるリストの下に、「種類」というリストがあります。種類には、「QRコード」と「記録用QRコード」という項目があります。

 この「記録用QRコード」を選ぶと、QRコードの真ん中にしおりのマークが表示されたQRコードに変化しますので、その状態で「ダウンロード」ボタンをタップして下さい。

シェアのボタンをタップ

「種類」で「記録用QRコード」を選択

 これが記録用QRコードになります。これをスマホのカメラアプリや一般的なQRコードリーダーで読んでみると、何と記録用の画面が最初から出現します。保存すると、弊社のQRコードリーダーと同様に、マイメモリー上に記録されていきます。つまり、弊社のQRコードリーダーを使わなくても、記録用QRコードを利用するだけで、カメラアプリや一般的なQRコードリーダーでも「覚える」という動きが出来るようになり、いちいち弊社URLを紹介する必要がなくなります。(ただし、cookieを利用している関係上、使ってはいけないQRコードリーダーなどの制約はあります。詳しくはかけはしメモリーのマニュアルをご覧ください)

 一般的なQRコードは、言ってしまえばアクセスの利便性を用意しただけのものです。表示しておいて「誰かがその場で読んでくれればいい」だけのものであり、ポスターがそれに近いと言えます。

 それに対して、記録用QRコードは「ぜひ覚えてください」(そしていつか買ってください)というように、顧客側にメッセージを送り、その場で導線までを引く為のもので、手渡しのショップカードや、営業の代わりとなるものです。自分の商品や作品が気に入った人には是非覚えておいてもらって、いつでも好きな時に買って欲しいものです。気に入って覚えておいてくれた人ならば、その可能性は高いはずですので、そういうお客様には、是非記録用QRコードを提示して、手元に覚えてもらうことをお勧めします。それならばSNSやブログで情報を発信するのが苦手な方でも手軽に出来るはずです。

まとめて覚えるグループ機能(包含関係)

 かけはしメモリーには「グループ」という機能があります。無料ユーザー登録をすると利用できる機能ですが、必要な情報をまとめてひとつのページにできるので、かなり重宝しています。グループ作成を行うと、既に覚えたものや、新しく追加するものも含めて、一つのグループページに纏めることが出来ます。以下が画面イメージです。

保存したものから選択

URLからも追加選択可能

最後に纏めたグループの名前を入力して終了

 このように、まとめることで、一つのページが生成されました。内容はいつでも変更可能で、不必要になったページは削除し、新たなページを加えることも可能であり、これだけでちょっと便利な可変QRコードが作れてしまいます。

 この場合は、エッジの意味を少し変えて、「含める」という包含関係で、グループから対象のノードにエッジを繋ぐことで表現しています。

 勿論、まとめたグループもノードなので、同じようにQRコードや記録用QRコードを発行して、覚えてもらうことが出来ます。グループの中にグループを入れることで階層構造を作ることも可能です。このページを相手に覚えてもらうだけで、ページが窓口代わりになり、資料やカタログ、動画やショッピングカートなど、必要なものや最新のものを常に相手に受け渡しすることが可能になるのです。

 この機能を利用して作ったのが弊社の岐阜県版酒蔵図鑑です。岐阜県下の22の酒蔵様の一覧がページになっています。気に入ったら覚えてみてください。

 弊社では、このグループ機能を拡張して、ワード感覚でページまで作れるようにした[かけはしBiz]という有料サービスも展開しております。

kakehashibiz – 株式会社かけはし

ワード感覚でページを作成

ノードを組み合わせてページを再利用

設置場所ごとのアクセス状況などを簡単に確認

 グループ機能は単純なものですが、こちらを利用すると、出来ることの幅がグンと広がります。何より生成できるページが無制限であり、ちょっとしたWEBページだけならこのかけはしBizだけでも十分に作成可能です。

 例えば、先ほどの紹介ページもかけはしBizを利用して作られています。ページだけでなく、PDFなどのファイルも組み合わせられる他、アクセス解析やカード作成機能など、他にも便利な機能が盛りだくさんなので、この機会にパンフレットなどを見直したいと思う方、30日間は無料でお試しできますので、是非一度使ってみてください。

 このグループ化機能のコンセプトは、「組み合わせ」にあります。

 例えば自治体のページには割とありがちなのですが、縦割りの関係上、様々な情報があちこちに分散している上、ページをリニューアルする度に、新しいページを生成しがちです。その為、受け手側にとっては非常に使い勝手の悪いものになる傾向があります。グループ機能を使えば、元のページに一切手を加えずに、ユーザー目線で情報をまとめることが出来ます。分散した情報もユーザー視点で意味のある情報として一つに纏められるからです。

 このように既にある情報を繋ぎ合わせるだけでも、受け手にとっては価値のある情報にもなります。情報もまた、組み合わせて再利用することで価値が高まるものであり、既にあるものでも必要なものは再利用してしまえばいいのです。それは新しく何かを生み出すよりもコストの低い効率的な方法でもあります。持続可能な社会を実現するためには、無理をしないことも必要です。グループ化機能もかけはしBizも、単なるページ生成ツールではなく、あらゆるものを再利用するというコンセプトのもとに作られています。

紙にまつわる不毛なコストを合理的に削減

 ここまでは、かけはしメモリーが動作する原理を中心に、紙の配布物に印刷されているQRコードを介して、情報をスマホで持ち歩くことが出来る「かけはしメモリー」の仕組みについて説明しました。

 では、紙は完全に不必要なのかと言いますと、弊社はそう考えていません。

 観光案内やパンフレットなど、人のいないところで不特定多数に配布するものの場合、紙の印刷物には「すぐ手に取れる」というメリットがやはり存在します。QRコードは普及してきましたが、「スマホのカメラでQRコードを読む」という行為は、人間にとって不自然な行動であり、その点、すぐ手に取れる紙の配布物には一日の長があるとも言えます。

 なので、弊社は主に「名刺サイズの案内」などを提案しています。次の写真を見てください。

 左側が、元々の酒蔵図鑑で、今は右の名刺サイズのカードを配布しています。

 名刺サイズのものにしたところ、印刷コストが1/20程度になった上、QRコードへのアクセス頻度も激増しました。左の酒蔵図鑑は手間とコストをかけて作りましたが、「よく出来た書きもの」であることと、「アクセスアップや購入への導線になること」は別であり、ページの中にQRコードを入れただけでアクセスしてもらえるわけではありません。色々と考えながら、コストをかけて様々な情報を詰め込んだとしても、効果が保障されるわけでも何でもないのです。この例のようにターゲットが明確ならば「QRコードのみ」の方がユーザーとしてはアクションが単純で、アクセスしていただける頻度が増えることもあります。

また、次をご覧ください。

 これは、酒蔵図鑑と一緒に配布したSAKE札というもので、岐阜県下21の酒蔵様の代表銘柄をカード化したものになります。これを知り合いの薬局様に置いて頂いたところ、あっと言う間になくなりました。単に、QRコードを貼ってラベル付けをしただけではこうはならなかったと思います。

 お酒のラベルは酒蔵様の顔でもあり、眺めているだけでも欲しくなることがあります。色んなカードが並んでいることにも視覚的な意味があったのではないかと考えています。この例では、「甘口」や「飲み方」などの簡単な情報を掲載してありますので、それもまたよかったのではないでしょうか。主にお年寄りが立ち寄る医院の門前薬局様でしたので、来訪される方のほとんどが年配の方です。全員がスマホを携帯しているわけではないにも関わらず、大人気でした。「もっと他にはないのか?」と要求されたほどです。

 例えQRコードを読めなくても、カードを手に取ることは誰にも出来るので、持って帰って頂いて、あとは欲しいときに、例えばお孫さんにでも買って頂ければよいのです。

 また、次の例は、関ケ原で買い物をする際に配布されている「武将札」です。

 計18枚あり、デジタルスタンプラリーにもなっているのですが、紙自体にも仕掛けがしてあります。カードを集めて裏面を18枚並べると関ケ原の合戦図屏風が出来が上がるようになっているのです。カードとは不思議なもので、ちょっとした工夫を凝らすだけで、集めたくなる特徴があります。こればかりはデジタルだけではどうにもならない価値であり、実際のモノがあるからこそ生きてくる、ローカルな価値です。

 別に全てをデジタル化する必要はありません。このようにちょっとした工夫を凝らすだけで、紙の配布物にかかるコストを合理的に削減しつつ、新たな付加価値を生み出すことが出来るのです。

まとめ

 ここまでは主に、弊社のサービスの一つである「かけはしメモリー」に重点を置いて、その効果と動作原理を紹介してきました。

 かけはしメモリーを使って、紙の配布物を作成すると、紙のコストを削減しつつ、クラウド上に情報を持ち運ぶポケットが用意されます。こうすることで、持ち運びの労力を省き、紙にあった情報を「いつでもどこでも」手元のスマホからアクセスできるようになるのでした。

 ガイドや案内は元々、持ち運んで後から見る為のものであり、その意味ではこの考えは理にかなっていると言えます。

 その過程で、かけはしメモリーの動作原理を説明しました。かけはしメモリーはQRコードを介した有向グラフによるネットワーク構造で表現されます。かけはしメモリーを利用すると、クラウド上に自分の分身となる「ノード」が作成され、そのノード(オーナーノード)を介して、自分の覚えた情報にアクセスします。

 情報をまとめることもできます。グループ化機能で、必要な情報を組み合わせてページを作成し、バラバラになった情報を自分なりに組み合わせることで、自由に新たな価値を生み出すことが出来るのでした。

 これらすべてのサービスは、ノードとエッジによる「有向グラフ」で表現され、「覚える」「まとめる」などの振る舞いを属性として持つエッジでノード間を繋いでいくことで実現されています。このようにQRコードを介して、人やモノの行為のネットワークを構成し、様々な機能を実現することを可能としているのが、弊社の仕組みのコアとなる技術である「物理媒体を利用した情報提供システム及び提供方法」であり、組み合わせによって様々なサービスを柔軟に表現しているのです。

 勿論、この仕組みで実現できる機能はこれだけではありません。では他の仕組みはどうなのでしょう?イベント受付やファンクラブはどのように実現しているのでしょうか?

 その説明をする前に、次の記事では、かけはしメモリーを支える弊社の理念や考え方を中心に、何故このような仕組みを選択したのかを書かせて頂こうと考えています。

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