イベント回遊施策の進め方|「一過性で終わらせない」体験設計と地域周遊事例
街ナカや商業施設、観光地でイベントを開催する際、「特定のメイン会場ばかりが混雑して、奥のエリアまで人が流れてくれない」「もっとエリア全体を巡ってもらい、滞在時間や立ち寄り先を増やしたい」といった悩みを抱えるご担当者様は少なくありません。にぎわいを生み出すための手段として回遊施策が検討される機会は非常に多いものの、実際に実施してみると「スタンプラリーのスタンプを集めることだけが目的になり、参加者が素通りしてすぐに帰ってしまった」「一回きりの打ち上げ花火のようなイベントになってしまい、次回につながる関係が築けなかった」という声も多く聞かれます。
時間と予算をかけて準備する以上、その場限りの通過点として終わらせるのではなく、参加者に楽しんでいただきながら地域や施設のファンになってもらえるような持続性のある取り組みに育てたいところです。この記事では、イベント回遊施策の基本的な進め方や手法の比較、そして一過性で終わらせずに継続的なファンを育てていくための体験設計のポイントを、実際の地域事例を交えながら詳しく解説いたします。
【この記事はこんな方におすすめです】
・初めてイベントや施設の回遊施策を担当し、準備手順や運営負担を把握して自分たちに合う方法を選びたい方
・クライアントへの提案やコンペ案件で、「一過性で終わらない周遊企画」を探しているイベント会社・広告代理店・制作会社のご担当者様
・単発の通過作業にさせず、地域の魅力発信や継続的な関係づくり(ファン化)に繋げたい方
なぜ多くのイベント回遊施策は「一過性(一発の花火)」で終わってしまうのか?
回遊施策は、来訪者の行動範囲を広げて施設や地域の魅力を余すところなく届けるための有効なアプローチとして広く知られています。しかし、企画の組み立て方を誤ってしまうと、参加者にとっても主催者にとっても負担ばかりが残る結果になりかねません。
回遊施策が本来もたらすメリット(滞在時間・消費機会・満足度の向上)
イベントにおける回遊施策の大きな目的は、来訪者が一箇所にとどまることなく、会場や地域全体を歩き回る動線をつくり出すことにあります。広域にわたって人の流れを分散させることで、一部のメインスポットにおける過度な混雑を緩和しつつ、普段はなかなか足が届きにくい奥まった店舗や歴史史跡などにも自然と光を当てることができます。
歩くエリアが広がり滞在時間が伸びるほど、飲食店での休憩やお土産の購入といった消費機会が自然な形で増えていく傾向にあります。また、点と点を結んで巡る過程で、これまで知らなかった地域の魅力や街並みの美しさに触れてもらうことで、イベント単体への評価にとどまらず、その土地や施設全体に対する愛着や満足度を高められる点も本来の大きなメリットです。
スタンプを集めるだけの企画が「単なる作業」になってしまう理由
一方で、せっかく導入した回遊施策が「その日限りの作業」になってしまうケースが散見されます。その根本的な要因は、主催者側の「ここを見てほしい、ここまで歩かせたい」という都合と、来訪者側の「楽しい体験をしたい、面白い時間を過ごしたい」という気持ちの間にズレが生じている点にあります。
単にチェックポイントを等間隔に配置して「スタンプを集めると景品がもらえます」と告知するだけの設計では、参加者にとっての動機が「景品をもらうための条件達成」にすり替わってしまいます。その結果、参加者はスマートフォンの地図を見ながら最短ルートで移動し、現地に到着しても周囲の景色やお店を眺めることなく、QRコードを読み取ってすぐに立ち去るという事態に陥りがちです。これでは移動が「面倒な義務や作業」になってしまい、魅力が記憶に残らないまま終わってしまいます。
成功の本質は「回遊させること」ではなく「移動自体にワクワクする動機」をつくること

回遊施策を成功に導くために不可欠なのは、「いかに人を歩かせるか」という主催者主導の発想を手放すことです。来訪者が自分の意志で「あっちにも行ってみたい」「もっと深く見てみたい」と感じられるような、移動そのものを楽しむためのポジティブな動機づけが必要とされます。
「歩かせる」のではなく、「思わず寄り道したくなる仕掛け」が整っていれば、参加者は移動の過程そのものに面白さを見出してくれるようになります。さらに、その場での楽しい探索体験が心に残れば、「今回は回りきれなかった場所があるから、また別の季節に来てみよう」という次回への再訪意欲や、継続的な愛着へと自然に育っていく土台が形成されます。
イベント回遊施策の主な種類と特徴
回遊を促すための手法にはいくつかのアプローチが存在し、それぞれ得意とする領域や求められる準備体制が異なります。企画の規模やかけられる予算、現地での人員体制に合わせて適切な形式を選択することが、無理のない運営の第一歩となります。
代表的な4つの回遊施策パターン
イベントや商業施設で採用されることの多い手法は、主に以下の4つに分類されます。

- デジタルスタンプラリー・謎解き型
参加者のスマートフォンを活用し、QRコードの読み取りや位置情報、クイズの解答などを通じてポイントを集めていく方式です。専用の用紙や押印用の備品を現地に常備する必要がなく、集客状況やどのルートがよく通られているかを行動ログとして可視化しやすい強みがあります。また、参加後のアンケートや次回イベントの案内など、継続的な関係づくりへの導線も組み込みやすい特徴を持っています。 - リアルノベルティ・カード配布型
寺社の御朱印集めのように、現地の指定スポットや協力店舗を訪れた条件達成者に対して、特製の紙カードや限定バッジなどの記念品を手渡していく方式です。画面の中だけでなく、手元に残る形あるアイテムを獲得できることが強い動機づけとなり、コレクター心やファン心理を刺激して遠方からの来訪を後押しする力があります。 - 体験・ワークショップ連動型
各拠点に伝統工芸の体験コーナーや簡単な手作り体験、実演スペースなどを設け、参加しながら巡ってもらう形式です。その場での滞在時間が長くなりやすく、地域文化への深い理解を促すには非常に適していますが、各所に専門の講師や運営スタッフを常駐させる必要があるため、人件費や材料の管理負担が大きくなりやすい傾向にあります。 - 施設サイン・動線誘導型
目を引く大型の看板や床面の誘導ステッカー、館内放送やパンフレットの配布などを活用し、視覚的・聴覚的に人の流れをコントロールする手法です。迷いやすい通路を整えて人の流れをスムーズにする即効性には優れていますが、それ自体が目的になるようなエンターテインメント性や、何度も来たくなるようなリピート性は生まれにくい側面があります。
【比較表】目的・予算・運営体制で選ぶ回遊施策マトリクス
これらの代表的な手法について、導入コスト、運営負担、回遊効果、持続性の4つの視点から特徴を整理すると、下表のようになります。
| 施策パターン | 導入コスト | 現場スタッフの負担 | 回遊効果(自発性) | 持続性(リピート・ファン化) |
|---|---|---|---|---|
| デジタルスタンプラリー・謎解き型 | 中程度(ツール利用料) | 低〜中(基本は無人で運用可能) | 高(演出やゲーム性による) | 高(データ蓄積・次回案内が可能) |
| リアルノベルティ・カード配布型 | 低〜中(印刷・製造費) | 中〜高(現地での手渡し・在庫管理) | 高(収集欲の刺激) | 中〜高(コレクション性の維持による) |
| 体験・ワークショップ型 | 高(講師料・材料費) | 高(各拠点にスタッフ常駐) | 中(滞在は深いが広域周遊は鈍化) | 中(体験内容の鮮度による) |
| 施設サイン・動線誘導型 | 低〜中(看板制作・施工費) | 低(設置後の管理のみ) | 低〜中(受け身の移動になりやすい) | 低(単なる案内に留まりやすい) |
初めての担当者が無理なく回せる施策の選び方
初めて回遊施策の設計を担当する場合、現場に配置できるスタッフの人数には限りがあるケースがほとんどです。各拠点にスタッフを張り付けるような企画を選んでしまうと、当日のオペレーションや予期せぬトラブル対応だけで手一杯になり、主催者側が疲弊してしまう恐れがあります。
そのため、最初の取り組みとしては、現場を無人で運用できる「デジタル方式」を主軸に据えつつ、要所に視認性の高いポスターや案内を配置する組み合わせが現実的な選択肢となります。デジタルツールを賢く活用して現場の省力化を図り、そのぶん空いたリソースを「どのようなテーマで楽しんでもらうか」という体験づくりの設計に充てることが、成功へのアプローチとなります。
来訪者が自発的に巡り、ファンになる「5つの体験設計」
来訪者が自分から進んで街や施設を歩き回り、終わったあとも「楽しかったから、また来たい」と感じてもらうためには、人の心を動かす仕組みが必要です。ここでは、一過性のイベントで終わらせないための5つの設計アプローチをご紹介します。
①「点」ではなく「地域の特色や物語(ストーリー)」でスポットをつなぐ
独立したスポットがただ地図上に並んでいるだけでは、参加者はそれぞれの場所を個別の点としてしか認識できません。そこで、地域に古くから伝わる歴史上の出来事や伝説、あるいはその土地ならではの文化をひとつの世界観に仕立て上げ、参加者自身が物語の主人公として旅を進めるような構成をつくります。
スポットを巡ってヒントを集めたり、現地を観察して謎を解き明かしたりするプロセスを通じて、単なる移動が「冒険」や「探求」へと変化していきます。物語の文脈が加わることで、何気ない街並みや路地裏の風景にも特別な意味が生まれ、現地での滞在体験がより色濃く記憶に刻まれるようになります。
②「日替わり出現・ゲーム要素」で、同じ場所をもう一度訪れる理由をつくる
一度訪れてスタンプを押してしまった場所は、一般的なスタンプラリーであれば二度と立ち寄る理由がなくなってしまいます。しかし、同じスポットであっても訪れる日や時間帯によって得られる体験が変化する仕掛けがあれば、リピートの動機を自然に生み出すことができます。
例えば、単なるスタンプラリーではなく、アクセスするたびに出現するキャラクターや手に入るアイテムがランダムで変化する仕組みを取り入れると、「昨日はあのキャラだったから、今日は別のものに出会えるかもしれない」という期待感が生まれます。時間帯によって演出が変わる仕掛けなども組み合わせることで、同じエリア内での滞在時間を自然に引き延ばし、複数回にわたる来訪を促しやすくなります。
③「手元に残る記念品(リアル)」と「スマホの記録(デジタル)」を掛け合わせる
すべてをスマートフォンの画面の中だけで完結させるのではなく、現地で物理的に受け取れるリアルなアイテムを組み合わせる手法も非常に効果的です。現地に足を運んで条件を達成した人だけが手に入れられる特製のカードやステッカーなどは、参加者にとって旅の証となる大切な記念品になります。
受け取った記念品に印字されたコードをスマートフォンで読み取り、デジタル上でも収集履歴を記録できるようにしておけば、「紙のカードを集める手応え」と「デジタルで手軽に管理・応募できる便利さ」の両方を満たすことができます。手元に残ったアイテムを見るたびに楽しかった記憶がよみがえり、次の目的地へ向かう意欲や、次回イベントへの期待感を高めるきっかけになります。
④「デジタル図鑑(コレクション)」で収集欲を刺激し、思い出を蓄積する
集めたスタンプや獲得したキャラクターを一覧で眺めることができる「デジタル図鑑」や「コレクション画面」は、人の収集欲を心地よく刺激します。「あと少しでコンプリートできる」「まだ空いているマスを埋めたい」という心理が働くことで、少し離れた場所にあるスポットへも自発的に足を延ばす後押しになります。
集めた記録がイベント終了後も消えずにスマートフォンの中に残り続ける設計にしておけば、来訪者にとっては自分だけの旅のアルバムや実績ログとして機能するようになります。形に残る達成感を提供することが、その地域や施設に対する特別な愛着を育むことにつながっていきます。
⑤ イベントを「入口」にして、年間を通じた「会員化・ファンコミュニティ」へつなげる

回遊イベントを「その日限りの催し」として終わらせないための最大の鍵は、イベントへの参加をきっかけとして、中長期的なつながりを持つ仕組みを用意しておくことです。イベント参加時に作成したマイページや収集記録を、そのまま「デジタル会員証」や「地域ファンクラブの証」として持ち越せる設計にしておけば、主催者と参加者の関係はイベント終了後も途切れません。
イベント当日は楽しい体験の入り口として機能させ、終了後には地域の最新情報や季節ごとの見どころを案内したり、次回の周遊企画で前回の実績に応じた優待を提供したりすることができます。このように段階を踏んで関係を深めていくことで、単なる一見の来場者が、自然な形で年間を通じて地域を応援し再訪してくれる継続的なファンへと育っていく道筋が描けます。
ここまでの①〜⑤は、どれもデジタルで仕組みを組むからこそ取りやすくなる施策です。紙のスタンプカードでは、イベントが終わったあとに参加者とつながり続けることは難しいものの、デジタルなら記録やマイページが手元に残り、次回の案内や優待につなげられます。続いて、デジタルの回遊施策で一時的な参加者を次につなげた事例をご紹介します。
【実践事例】地域の魅力を活かした回遊体験から「ファンづくり」への展開事例
地域の資源や物語を活かし、参加者の自発的な回遊と継続的なファン化を両立させた実際の事例をご紹介します。いずれも、株式会社かけはしが提供するプラットフォーム「かけはしcube」を活用し、一過性で終わらせない仕組みづくりに取り組まれた実例です。
事例1
東京の街歩きでゆかりの地を巡り、歴史の理解と地域PRを深める【江戸はもうひとつの滋賀だった? 謎ときラリー(主催:滋賀県)】
最初にご紹介するのは、まずは一回のイベントを通じて「地域の魅力や歴史的なつながりを深く知ってもらう」ことに特化した単発周遊のモデルです。
滋賀県が主催した「江戸はもうひとつの滋賀だった? 謎ときラリー」は、東京都内にある滋賀県ゆかりのスポット(豪徳寺や日本橋など)を舞台にした街歩き型の周遊企画です。この取り組みでは、単に指定の場所を訪れてスタンプを押すだけではなく、現地に足を運び、現地の案内板や景色をじっくり観察しなければ解けない謎解き形式を採用しました。
「答えを探すために現地をよく見る」という行動が自然に生まれることで、参加者は通過点として素通りすることなく、江戸と滋賀の深いつながりや歴史文化に自然と関心を持つようになります。すべての謎を解き明かすと滋賀県の特産品が当たる抽選に応募できる仕組みを設け、首都圏の生活者に対して滋賀県の魅力を強く印象づけ、将来的な現地訪問への興味を育てる良質な体験設計を実現しました。
江戸は滋賀?謎ときラリーの事例を詳しく見る
事例2
駐車場からの動線をゲーム化し、年1回から通年のファンクラブへ【つちのこフェスタ(岐阜県東白川村)】
次にご紹介するのは、イベント当日の「動線の課題解決」を出発点としながら、年1回のイベント参加者を「通年で村を応援してくれる関係人口」へと引き上げたモデルです。
岐阜県東白川村で毎年開催されている「つちのこフェスタ」では、臨時駐車場から本会場までの徒歩ルートが長く、移動中の参加者をいかに退屈させないかという運営上の課題がありました。そこで、駐車場から会場へ続く道沿いに「つちのこ捜索!ハンティングラリー」を設置し、スマートフォンでQRコードを読み取るとランダムに生き物が出現するゲーム性を導入しました。移動時間そのものが楽しい探索アクティビティへと変わり、歩くストレスを解消することに成功しています。
さらにこの企画では、イベント当日の回遊だけで終わらせず、ラリーで集めた成果やマイページを村の公式「つちのこファンクラブ」へとスムーズに連動させました。年に一度足を運んでくれた来場者のデータを手元に残し、イベント終了後も年間を通じて村の特産品情報や季節の便りを届けることで、単なるイベント客から持続的な関係人口へと育てる仕組みへと昇華させています。
つちのこハンティングラリーの事例を詳しく見る
つちのこファンクラブの事例を詳しく見る
事例3
武将バトルゲームやリアルカードで広域周遊と再訪を促進【岐阜県関ケ原町(QR武将バトル・関ケ原スマホポイント合戦・武将札)】
最後にご紹介するのは、ゲーム性と手元に残るリアル記念品を掛け合わせ、町全体の広域周遊を生み出しながら、次回シーズンへの「再訪(リピート)」を確立した発展モデルです。
天下分け目の戦いの舞台である岐阜県関ケ原町では、広大なエリアに点在する史跡群や町内の飲食店・売店をいかに巡ってもらうかが課題となっていました。「関ケ原スマホポイント合戦」では、現地でQRコードを読み取ると敵武将が出現してバトルが楽しめるゲーム要素を導入し、参加者アンケートで93%が「とても楽しい・楽しい」と回答する高い熱量を生み出しました。さらに、店舗での買い物や食事といった利用条件を達成した参加者には、武将をモチーフにした特製カード「ぷにっと武将札」を配布し、カード記載のQRコードからスマートフォン内のデジタル図鑑にもコレクションできる仕組みを組み合わせました。
現地でしか手に入らない形あるカード収集と、手軽なデジタルの記録が合わさることで、町内を隅々まで巡る強力な推進力が生まれました。集めた実績や称号は「関ケ原ファンクラブ」の共通マイページ(デジタル宝箱)として参加者の手元に蓄積され続けるため、イベント期間が終わったあとも町への愛着が薄れず、次の観光シーズンや次回イベントへの再訪を後押しする強い動機となっています。
関ケ原QR武将バトルの事例を詳しく見る
関ケ原スマホポイント合戦の事例を詳しく見る
関ケ原ファンクラブの事例を詳しく見る
まずは単発の周遊から。成果を見ながら段階的にファン基盤を育てるステップ

これら3つの事例が示すように、最初から大規模なファンクラブ組織や複雑な会員システムを立ち上げようと構える必要はありません。
初めて回遊施策を担当される場合は、滋賀県の事例のように、まずは単発の周遊企画として「訪れた場所をじっくり観察し、魅力を知ってもらう体験づくり」から小さくスタートするのが確実です。その上で、手応えや参加者の反応を見ながら、東白川村のように「イベント当日の動線づくりとファンクラブ連携」へと歩みを進めたり、関ケ原町のように「リアルカードやデジタル図鑑を組み合わせたリピート施策」へと育てていくことができます。
大切なのは、目の前のイベントを無理のない規模で成功させつつ、将来的に参加者とのつながりを残していける拡張性をあらかじめ備えたツールを選ぶことです。段階を踏んで仕組みを育てていく視点を持つことが、一過性の打ち上げ花火に終わらない、持続可能な地域活性化への確かな近道となります。
これらの事例に見られる共通点は、最初から無理をして巨大なファンクラブ組織を立ち上げようとしたのではなく、まずは参加者が楽しめる単発の周遊企画から小さく始めている点にあります。
初めて取り組む段階では、ひとつのイベントを円滑に運営し、参加者に「楽しかった」と感じてもらうことに集中しましょう。その際、利用するシステムがあらかじめ会員機能への拡張性を備えていれば、手応えを確認した次の段階で、リピート施策やコミュニティ化へと無理なくステップアップしていくことができます。背伸びをせず、目の前の企画を成功させながら将来への布石を打っておくことが、持続可能な地域づくりの王道と言えます。
初めてでも失敗しない!回遊イベントの準備手順【6ステップ】

回遊イベントの実施にあたっては、全体像をあらかじめ把握し、順序立てて準備を進めることで現場の混乱を防ぐことができます。初めて担当される方が押さえておくべき標準的な進行フローを、6つのステップに沿って解説いたします。
STEP1.開催目的とターゲット動線の設定
最初に行うべきは、イベントを通じて何を達成したいのかという目的の整理です。奥まったエリアの店舗に立ち寄ってほしいのか、全体の滞在時間を伸ばしたいのか、あるいは地域の歴史を知ってもらいたいのかによって、企画の骨組みは大きく変わってきます。
あわせて、どのような層に来てほしいのかというターゲット像を具体化します。小さなお子様連れのファミリーであれば歩きやすい平坦な短距離ルートが求められますし、歴史愛好家であれば多少距離があっても見ごたえのある解説が喜ばれます。「誰に、どこを、どのような気分で巡ってほしいか」を明確にしておくことが大切です。
STEP2.企画テーマの決定(地域資源・歴史・世界観の選定)
目的とターゲットが定まったら、回遊全体を包み込むテーマや世界観を設定します。地域の伝承や特産品、歴史上の人物など、その土地ならではの資源を掘り起こし、参加者が没入できるストーリーへと組み立てていきます。
単なる「スタンプ集め」という名目ではなく、「失われた手がかりを探す捜索隊」や「街に隠された謎を解く探偵」といった役割を参加者に与えることで、移動そのものが楽しい遊びへと昇華されます。この世界観づくりが丁寧に行われているかどうかが、参加者の自発的な行動を引き出す鍵となります。
STEP3.周遊ルートとスポット数の設計(無理のない所要時間)
次に、実際に巡ってもらうチェックポイントの場所と数を決定します。主催者側としては多くのスポットを巡ってほしいと考えがちですが、あまりに数が多すぎたり移動距離が長すぎたりすると、参加者が途中で疲れてしまい離脱の原因になります。
徒歩での移動時間や各拠点での滞在時間、施設の営業時間を丁寧にシミュレーションし、無理なく回りきれるボリュームに収める配慮が必要です。すべての拠点を回らなくても一定の条件で応募できるルールを設けるなど、参加者の体力や都合に合わせて柔軟に楽しめる余白を残しておくことが大切です。
STEP4.実施ツール・システムの選定
企画内容を具現化するために使用するシステムやツールを選定します。専用アプリのインストールを求める形式は機能が豊富な反面、ダウンロードの手間が参加の障壁になりやすいため、手軽さを重視する場合はWebブラウザ上で動作するサービスを選ぶのが一般的です。
選定にあたっては、直感的に操作できる管理画面が用意されているか、参加状況をリアルタイムで把握できるか、そして将来的にデータを活用した展開が可能かといった点を確認しておくと安心です。初期設定にどの程度の専門知識が必要かも事前に見極めておく必要があります。
STEP5.現地調整と告知資材(ポスター・案内ページ等)の準備
チェックポイントとなる店舗や施設への事前説明と協力依頼を丁寧に進めます。QRコードを掲示する場合は設置場所の確認を行い、風雨への対策や景観への配慮を怠らないようにします。
同時に、イベントの存在を知ってもらうためのWeb案内ページや告知ポスター、チラシの制作を進めます。初めて訪れた方でも「どのように参加し、何をすればよいのか」が直感的に理解できるよう、参加手順を簡潔に記載したビジュアルを用意することが集客を左右します。
STEP6.イベント開催と行動ログの分析(次回への改善)
開催期間中は、システムの稼働状況や現地掲示物の状態を定期的に確認し、参加者からの質問や問い合わせにスムーズに対応できる体制を整えておきます。
イベント終了後は、取得されたログデータを集計し、総参加者数だけでなく、どの時間帯にどのルートが多く通られたか、途中で離脱が多かったポイントはどこかなどを振り返ります。数字と参加者の声を突き合わせて検証することで、次回の企画改善や、より満足度の高い周遊設計へと確実につなげていくことができます。
主催者・提案事業者が知っておくべき「ツール選びの基準」
回遊施策を支えるプラットフォームを選ぶ際には、機能の豊富さや見栄えの良さだけでなく、運用面での負担や将来の拡張性に目を向ける必要があります。特に少人数で運営する主催者や、クライアントへ提案を行う代理店・制作会社にとって見逃せない3つの基準を整理します。
① 単なるスタンプ集めで終わらず、世界観やゲーム性を取り入れた「体験設計」ができるか
ツールを選ぶ上でまず確認したいのは、設定できるルールの自由度です。決められた場所にデジタルスタンプを置くだけの定型的なシステムでは、どうしても「最短ルートを急ぐだけの作業」になりがちです。 地域の歴史や物語に合わせた謎解きを組み込めるか、日替わり出現などのランダム要素を持たせられるか、あるいはリアルカードの配布と連動できるかといった柔軟性があるかどうかで、参加者の没入感や満足度は大きく変わってきます。提案を担う代理店にとっても、クライアントの要望に応じた独自の企画を具現化できる基盤であるかが成否を分けます。
② 告知ページ作成やシステム面の設定がノーコードで完結し、準備コストや外注費を抑えられるか
イベントを開催するにあたっては、周遊システムそのものだけでなく、概要や参加手順を知らせる告知用Webページ(LP)の準備が欠かせません。これを別の制作会社へ個別に外部委託してしまうと、余分な発注費用がかさむだけでなく、スケジュール調整のやり取りに多くの時間を奪われてしまいます。 プラットフォーム上で、周遊機能の設定とあわせて案内ページまで専門知識なし(ノーコード)で一体作成できる環境が整っていれば、制作コストを抑えながらスピーディーに準備を進められます。これは主催者の負担軽減になるだけでなく、クライアント案件を手掛けるプロモーション事業者様にとっても、制作工数を削減して提案全体の利益率を高め、短納期案件にも柔軟に対応できるという大きな利点をもたらします。
③ 現場のメンテナンス負担を抑えつつ、一過性で終わらない「継続性」を備えているか
実際の開催期間中や次回以降の運用負担、そして将来の展開を見据えた設計がなされているかも重要な視点です。例えば、企画内容が変わるたびに現地のポスターを貼り替える必要があると、広域周遊ほどスタッフの労力が限界に達してしまいます。QRコード自体は現地に固定したまま管理画面側から内容を柔軟に切り替えられる仕組み(貼りっぱなしでの再活用)や、ログ検知による不正対策・抽選機能が備わっていれば、現場の負担を最小限に抑えられます。 さらに、集まった参加者データをその場限りのアクセス数として捨ててしまわず、マイページやデジタル図鑑として手元に残せる仕組みがあれば、次回以降のファンクラブ化やリピート施策へと自然に拡張していけます。日々の現場運用で疲弊せず、長期的な成果へと育っていけるプラットフォームを選ぶことが、持続可能な取り組みへの確かな足がかりとなります。
【イベント会社・広告代理店・制作会社様へ】クライアント提案のプラットフォームとして
「クライアントから回遊イベントの相談を受けたが、特注開発を行うほどの予算や期間がない」「単なるスタンプ集めの提案では他社との差別化が難しく、コンペで勝ちきれない」といった課題をお持ちの事業者様にとって、独自性の高い体験設計を可能にするシステム基盤は強力な提案の武器となります。
かけはしcubeは、代理店様やイベント制作会社様が自社のクライアントワークに活用できるプラットフォームとしても幅広く導入されています。基本機能は直感的なノーコードで設定できるため、自社スタッフの手でスムーズに案件を進行していただけるほか、コンペ段階での企画のご相談や、クライアント独自の仕様に合わせたカスタマイズの受託まで、裏方として柔軟にバックアップいたします。自社の企画費やディレクション費を乗せた形での自由な提案が可能ですので、パートナーとしての活用をご検討の際もお気軽にご相談ください。
地域の物語を活かした回遊イベントを手軽に実現する「かけはしcube」
株式会社かけはしが提供する「かけはしcube」は、地域の情報流通を滑らかにし、持続可能な活性化を支えるために生まれたWebプラットフォームです。単なるデジタルスタンプラリーの枠を超え、ゲーム性やコレクション要素、そして将来の会員化を見据えた仕組みをオールインワンで提供しています。
ノーコードで誰でも簡単に回遊イベントを構築(月額5万円〜)
プログラミングに関する専門知識がなくても、管理画面から必要な情報を入力していくだけで、直感的に回遊イベントを立ち上げることができます。スポットの設定やスタンプ画像、案内ページの作成までを一元管理できるため、準備にかかる期間と労力を大幅に圧縮できます。
主催者様ご自身で運用していただくセルフ形式であれば月額5万円(税別・会員登録なし)から導入でき、予算が限られた地域のイベントや商店街の周遊企画でも無理なくご活用いただけます。
まずは小さな単発イベントから。必要に応じて会員化へ拡張できる柔軟性
かけはしcubeの大きな強みは、「最初は目の前の単発イベントを成功させること」に集中しつつ、手応えを得られたあとに「継続的な関係づくり」へと無理なく歩みを進められる点にあります。
イベントが終了したあとも、参加者のスマートフォンには集めたスタンプの記録やデジタル図鑑、獲得した称号が残り続けます。参加者とのつながりを断ち切らずに手元へ残しておけるため、次回イベント開催時の再訪促進や、地域の特産品情報を届けるファンコミュニティへの発展など、状況の変化や成長スピードに合わせて柔軟に活用範囲を広げていくことができます。
企画の壁打ちからシステム構築まで、状況に合わせて選べる3つのプラン
初めて開催を担当される方から、自社で運用を完結させたい事業者様まで、それぞれの体制やリソースに合わせて選択できる3つの導入プランをご用意しています。
- セルフプラン
ツールをご提供し、初期設定から当日の運用までをお客様主体で進めていただくプランです。運用コストを最小限に抑えたい場合や、代理店様が自社の裁量で進行したい場合に適しています。 - ハイブリッドプラン
基本的な設定作業はお客様に進めていただきつつ、周遊ルートの設計やゲームルールの組み立て、システム設定の確認など、要所を弊社が伴走支援する共同進行のプランです。 - フルサポートプラン
「どのような世界観にすべきか」という企画の初期段階から、物語やルールの設計、ツールの構築、当日の運用フォローまでをトータルでサポートするプランです。地域の魅力を最大限に引き出す企画をプロと一緒に形にしたい場合に適しています。
また、定型の機能だけでは実現できない特殊な周遊ルールや、地域独自の演出を取り入れたい場合にも、柔軟な個別カスタマイズでご要望にお応えしています。
回遊イベントの開催に関するよくある質問(FAQ)
回遊イベントの企画やツールの導入にあたって、担当者様から頻繁に寄せられる疑問についてお答えいたします。
Q. 準備期間はどれくらい必要ですか?
A. 既存のシステムを利用する場合、ツールの設定自体は数日から数週間程度で完了させることも可能です。ただし、周遊スポットとなる施設や店舗との調整、現地での動作確認、ポスターなどの告知物の印刷、広報活動にかかる時間を考慮すると、初めて開催される場合は概ね2〜3ヶ月前からの準備着手を推奨しております。
Q. 小規模な商店街や数カ所のスポットでも導入できますか?
A. もちろん問題ありません。スポットが数箇所程度のコンパクトなエリアであっても、クイズ形式やランダム出現の仕掛けを取り入れることで、密度が高く満足感のある体験をつくり出すことができます。エリアの規模に応じた無理のない周遊ルートを設計することが可能です。
Q. 代理店としてクライアント提案に利用できますか?
A. はい、多数の広告代理店様やイベント制作会社様にご活用いただいております。ツールの利用契約をベースに、貴社側で企画費や運用費を設定してクライアントへご提案いただく形に対応しております。コンペ前の仕様確認やお見積りのご相談も承っておりますので、安心してお問い合わせください。
まとめ:「巡る体験」を通じて、地域や施設に愛着が残る仕組みをつくろう
イベントにおける回遊施策の価値は、単に人をあちこちへ移動させることにあるのではなく、移動する時間そのものを「楽しい体験」へと変え、訪れた場所への興味や愛着を深めてもらうことにあります。
デジタルツールは、その体験をストレスなく実現し、現場の負担を軽減するための頼もしい道具です。しかし、本当に参加者の心を動かすのは、その土地に眠る歴史や物語であり、現地で得られる小さな発見やワクワク感です。そして、その楽しい記憶をスマートフォンや心の中に残しておくことができれば、一過性の打ち上げ花火で終わることなく、次回もまた足を運んでくれる大切なファンとの持続的なつながりへと実を結んでいきます。
【イベント会社・広告代理店・制作会社様へ】
かけはしcubeは、貴社クライアントへの提案ツール(プラットフォーム利用・OEM的なご活用)としても多数導入されています。自社でのノーコード運用はもちろん、コンペ段階の仕様相談や、特殊なゲーム性・ルールの受託カスタマイズまで柔軟に対応可能です。クライアントへの企画提案でお困りの際もお気軽にご相談ください。
株式会社かけはしでは、プラットフォームの提供にとどまらず、地域の固有資源を活かした企画を一緒に考え、主催者様・クライアント様が無理なく続けられる仕組みづくりのご相談を随時承っております。「初めてで何から手をつければよいか迷っている」「自社のクライアントに提案できる面白い周遊の仕組みを探している」という方は、ぜひお気軽にお声がけください。